運用型広告を扱う広告主が持つべき視点~目標設定、予算、クリエイティブ

2017年1月24日

専業代理店・運用会社というのは運用のプロであり、
広告主が提示した情報に基づいて、広告主が指示した目標を目指して運用してくるところが多い。

一方で広告主側としては運用以外のところで、運用がうまくまわるように手配するのが仕事。
できる広告代理店であればプランナーがそのあたり全体を考えて回してくれるが、専業代理店や運用会社は役割特化になってしまってそのような機能は期待しにくい。

具体的には

  • (おおまかな)ターゲットと目標の設定
  • 予算のアロケーション
  • クリエイティブ
  • 計測仕様の策定と指示

このあたりが広告主が考えるべきこととなる。そして

  • 運用の精緻化

これは運用会社の仕事となる。

運用を委託される側は
全てのマーケティング活動を握っているのではない限り、
情報を与えられた範囲内での部分最適化に陥らざるを得ない。
運用会社からすれば指示されなかった部分については知りようがない。
広告主が運用会社に情報を出さなければ、そのぶん自らの首を絞めることになるのである。

おおまかなターゲットと目標の設定

基本的に広告運用会社はとにかくCPAよければいい。CPAを目指す運用になってしまう。
ROASを目標に設定すればROASになる。何を目標にするかその設定も重要になる。

CPAを目指す場合、同じ1CVでも、若い人のCVなのか年配者のCVなのか、とくに支持しなければどちらでもいいということになる。その結果CVユーザのカテゴリが(オンラインCVしやすいセグメントに)偏ることもある。

若い人も年配者も取りたい、もしくは特定のターゲットを取りたいというのであれば、
そこは明示して「20代男性を取るために○○万円使ってください」などと指示する必要がある。
どのセグメントを狙いにいくかべきか提案できる専業系代理店は多くないので、そこは広告主側で考える必要がある。

アロケーション

どの施策に、どのプラットフォームにいくらの予算を使うか。その配分

階段グラフ

(画像)

施策ごとに横を各施策のCV数、縦をCPAとした長方形を作り、CPAの低い施策から順に並べたもの。
1個の長方形が一施策になり、その面積が施策全体のコストを表す

どんな施策もある程度までは比較的簡単にコストをつぎ込むとそれに伴いCVも増加する。
しかしある程度まで行くとCVが増えなくなることがある。たとえば有効な(CVの出やすい)リマーケティングリストすべてに広告配信してしまったら、それ以上リマーケティングでCVは出なくなる。

この施策にはお金をつぎ込めばCVが出るのか、それともこれ以上つぎ込んでもCVが出ず、CPAが上がっていくだけなのか。
ポイントはボトルネックを見極めること。

分け方

広告施策の分類
アロケーションを考えるときの切り口・粒度

  • デバイス
  • 媒体
  • ターゲティング
    • リスティング広告
      • 指名検索
      • それ以外
        • 一般ワード
        • (地域ワード)
    • ディスプレイ広告
      • リマーケティング
      • それ以外
        • 拡張
        • オーディエンスターゲティング

ターゲティングについてはいろいろ考えられそうだが、ポイントは

検索連動型広告であれば指名検索とそれ以外、ディスプレイ広告であればリマーケティングとそれ以外

まずはそこで分けておけばいい。

これらが分かるようにキャンペーンコードをつけること。
最低限それだけ分かれば何とかなる。

クリエイティブ

クリエイティブは広告主側が用意しなければならないことが多い。
代理店にそのあたりのソリューションまで委託している場合は別だが。

やはりクリエイティブは大事。少数のパターンでは違いがない場合でも、多くのパターンでは違いが出る。
手間と制作費はかかっても、なるべく数多くのパターンのクリエイティブを配信し、勝ちパターンを見つけていくのが理想。

クリエイティブを作るソリューション

  • クリエイターズマッチ
  • KAIZENのグロースハッカー

同じクリエイティブを出し続けていると飽きられることがある

当初はABテストで効果がよかったクリエイティブも時間が経過すれば他とさほど変わらない水準になることがある。
試行回数を増やせば違いが小さくなるという統計でいう平均への回帰という現象に加え、
クリエイティブに目新しさがなくなって飽きられてくることも一因。

パーソナライズと全体でのABテスト

ABテストというのはある程度大きなボリュームに対して、どういうクリエイティブのウケがいいか見出すもの。
でも実は人によって好き嫌いは異なる。全体ABテストでダメだったクリエイティブだって人によっては効果的かもしれない。特定のセグメントにとっては効果的かもしれない。

ということで最近では全オーディエンスに対してABテストをやるのではなく、セグメントごとにABテストを行うやるケースも出てきている。

理想はセグメントごとに、いや、個人単位でそれぞれ最適なクリエイティブを見せること。

この極限がCriteoのようなダイナミッククリエイティブということになる。

ABテストの考え方とバンディットアルゴリズム

ABテストは

  • 一定のサンプルサイズが集まるまでやめない。効果が悪いクリエイティブも出し続ける
  • 有意差が出ないと判断つけられない
  • (厳密にはABの名のとおり2個の優劣の比較の方法)

単純にCTRやCVRの数値の良し悪しだけで見てもダメ。有意差で見ないと方法として間違い

という統計のメソッド(仮説検定)。でももっと柔軟にできないのか?

当然2パターンでは足りないので、多変量テストという手法を使うこともある。
多変量テストというのは実務の世界での便宜的な言い方で、統計的に正確な手法としては、実験計画法、多重比較というABテスト(仮説検定)よりはるかに複雑な議論をする必要が出てくる。

そんな中「バンディットアルゴリズム」という手法がある。

強化学習の一手法。
テストの期間と最適化の期間を区切るABテストとは異なり、テストを実行しながら少しずついいものに寄せていく方法である。
ABテストのようにAがいいとなったらBが配信されなくなるのとは異なり、常に適切な配信ボリュームを学習用に割き続ける。

メリット

  • 効果が悪いクリエイティブに出し続ける無駄がない。
  • 当初効果が悪かったクリエイティブも、環境の変化で効果が良くなることもあるが、それに対応できる

計測仕様の策定と指示

  • 全体を横断した効果測定ができるように、自社の計測ツールや施策分類体系にあわせたルール
  • 代理店間で共通に適用するパラメータ命名規則などのルール

こういったルールを作り、リンク先URLにパラメータを付けて入稿指示する。必要に応じて第三者配信のシステムを使う。

全施策をまたぐので、単一の施策のみ担う運用会社では不可能。
全施策を担う代理店であれば立場上可能かもしれないが、
この計測という活動自体が各広告施策を監視する位置づけになるものであるため、
「施策の進化を評価するための計測」ではなく「代理店の身内に甘い計測」となって出てくる危険がある。

運用の精緻化

キーワードのマッチング、入札調整など。

これは運用会社がやること。
数多くの案件から生まれた運用のノウハウがあり、これは何よりも強い。
広告主からは運用技術の細かいことに言及するのはナンセンスである。