アクセス解析の設定前チェックリストとGoogleアナリティクス設定手順
概要
GA4 ウェブ計測設計チェックリスト
GA4設定前チェックリスト
GA4の管理画面にログインする前に決めておくべき要件で、GA4に限らない、計測設計の要件定義である。これを決めずに管理画面を見るのは時間の無駄。このチェックリストを完成させるのに時間を割こう。
重要度:高
工数に影響するもの
- 計測対象
- どのドメイン
- どのディレクトリ(サブドメインの扱いを含む)
- クロスドメイン計測の有無(対象ドメインの一覧を事前に洗い出す)
- おおよそのページ数
- サイトの技術構成
- ページ遷移方式 ページ遷移時にソフトナビゲーション(History APIやフレームワークのクライアントサイドルーティングによるDOM更新)が発生する箇所があるかどうか。アーキテクチャ(SPA、SSR、SSGなど)だけでは判断できないため、実際の遷移挙動を確認する。ソフトナビゲーションが含まれる場合、page_viewの自動発火が正しく動作するか検証し、不足があれば手動発火の設計が必要になる。使用フレームワーク(Next.js / Nuxt / SvelteKit / Angularなど)を明記する
- Service Workerによるオフラインキャッシュやプリフェッチの有無(タグの発火タイミングやオフライン時のイベント欠損に影響する)
- Shadow DOMの使用有無(GTMのクリックトリガーで要素を直接取得できない場合がある)
- タグマネージャ経由でタグを設置するかどうか。GTMかどうか。 GTM以外の場合は使用ツール名を明記する
- サーバーサイドタギングの要否 サーバーサイドGTMを使用してファーストパーティドメインからイベントを送信するかどうか。ITPやサードパーティCookie制限への対応として計測精度向上が求められる場合に必要。使用する場合はホスティング環境の準備が前提となる
- タグを設置できない階層があるかどうか
- デバイス別のコンテンツ表示仕様
- レスポンシブデザインかどうか
- デバイスによってURLやページタイトルが異なるか
- キーイベント(コンバージョン)の定義
- キーイベントの名称と条件の一覧(URLが変化しないフォーム遷移がある場合はその旨も記載する)
- コンバージョン値(金額)を設定するかどうか。設定する場合の値と通貨
- レポーティング要件 必要なディメンションと指標がわかればよい。わからない場合は要件をヒアリングして抽出する。Looker Studio等での構築要否も含めて確認する
工数に影響しないもの
- 拡張計測機能で自動取得するイベントの取捨選択 スクロール、離脱クリック、サイト内検索、動画エンゲージメント、ファイルダウンロード、フォーム操作の各自動イベントを有効にするかどうか
- 不要なクエリパラメータの除外 広告パラメータやセッションパラメータなどの洗い出し
- 内部トラフィックの除外 クライアントの社内IPと自社社内IPの一覧
- 参照元除外ドメイン 自社決済ドメインや外部認証サイトなど、参照元として計上したくないドメインの一覧
- データ保持期間 イベントデータの保持期間を2か月と14か月のどちらにするか(探索レポートに影響。通常14か月を推奨)
- Googleシグナルの有効化 リマーケティング(オーディエンスのエクスポート)に利用するかどうか、「ユーザー属性とインタレストカテゴリレポート」で使用するかどうか
重要度:中
いずれも工数に大きく影響
- 同意モードの設計(Consent Mode v2) Cookie同意バナーの有無と、同意状態に応じた計測の振る舞いの設計。同意管理プラットフォーム(CMP)の選定を含む。EEA向けにはConsent Mode v2がGoogle広告連携の前提条件となっている
- Google広告との連携 連携する場合はGA4の編集権限とGoogle広告の管理者権限が同一アカウントに必要(設定時のみ)
- Search Consoleとの連携 GA4の編集権限とSearch Consoleの確認済みサイト所有者権限が同一アカウントに紐付いている必要がある
- BigQueryエクスポート 生データをBigQueryにエクスポートするかどうか。する場合はGCPプロジェクトの準備、エクスポート頻度(日次/ストリーミング)、費用見積もりを事前に確認する
- eコマース計測 GA4の推奨eコマースイベント(view_item, add_to_cart, begin_checkout, purchaseなど)を実装するかどうか。実装する場合はデータレイヤー設計が必要
- オフラインコンバージョンとの紐付け Measurement ProtocolやData Importを使用してオフラインデータを取り込むかどうか
- User-IDの実装 ログイン情報を使用して同一ユーザのクロスデバイス特定をするかどうか
重要度:低
工数に影響するもの
- 独自チャネルグループの設定 デフォルトチャネルグループで不足する場合のみ
- オーディエンスの設計 Google広告のリマーケティングリストとして活用する場合は事前に条件を設計しておく
- その他の要件(カスタムイベント、カスタムディメンション/指標)
- カスタムイベント:クリック、スクロール深度(拡張計測の90%以外の閾値が必要な場合)、動画再生(YouTube以外)、特定のユーザ操作など
- カスタムディメンション(イベントスコープ/ユーザースコープ):ユーザ属性、ユーザステータス、会員ランク、コンテンツカテゴリなど
- カスタム指標:特定の数値をイベントパラメータとして送信し指標として集計する場合
(参考)カスタムディメンション/ユーザープロパティで初期から実装しておくとよいもの
- ログイン状態(ユーザースコープ)
- 会員種別やユーザセグメント(ユーザースコープ、該当する場合)
- コンテンツカテゴリ(イベントスコープ、page_viewイベントに付与)
- デバッグモードフラグ(開発・検証環境の識別用)
工数に影響しないもの
- ユーザとアクセス権限 誰にどの権限(管理者・編集者・アナリスト・閲覧者)を与えるか
- アラートの設定 急激なトラフィック変動の検知などカスタムインサイトを設定するかどうか
実装時の注意
- 内部トラフィックのデータフィルタはまず「テスト」状態で作成し、検証後に「有効」にする。 有効にすると該当データはレポートから除外され復元できない。開発・ステージング環境のトラフィック除外ルールも同様。
- イベント名・パラメータ名の命名規則を事前に定義する。 GA4ではイベントベースのデータモデルであり、後から名称を変更しても過去データには遡及されない。snake_caseで統一し、Googleの推奨イベント名と衝突しないようにする。
- カスタムディメンション数上限(プロパティ全体でイベントスコープ50個、ユーザースコープ25個、1つのイベントに付与できるイベントパラメータは25個)とカスタム指標数上限(50個)を把握した上で設計する。
- SPAのソフトナビゲーション対応はデバッグを入念に行う。 フレームワークのルーティングによってはページ遷移時にpage_viewが二重発火する、または発火しないケースがある。GTMの履歴変更トリガーやカスタムイベントで制御する場合、全遷移パターンを網羅的にテストする。
作業手順
ここからGA4の管理画面にログインして作業を行う。上から順に設定し、どこまで設定完了したかと設定内容を控えておこう。
- アカウント、プロパティの作成
- アカウント名、プロパティ名、タイムゾーン、通貨の設定
- データ共有設定の確認
- データストリームの作成
- 対象サイトのURLを指定し測定IDを発行
- 拡張計測機能の有効化・無効化の選択
- 不要なクエリパラメータの除外設定
- クロスドメイン計測の設定
- 内部トラフィックルールの定義
- 同意モードの設定
- CMPとの連携設定
- デフォルトの同意状態の定義
- 計測タグの設置
- GTM経由の場合:Googleタグの作成、トリガーの設定
- 直接設置の場合:gtag.jsスニペットの埋め込み
- サーバーサイドGTMを使用する場合:サーバーコンテナの設定とクライアント/サーバー間の接続
- イベントの設定
- GA4管理画面でのイベント作成・変更
- GTMでのカスタムイベントタグの作成(SPA対応のpage_view手動発火を含む)
- eコマースイベントの実装(該当する場合、dataLayer設計を含む)
- User-IDの送信設定(該当する場合)
- カスタムディメンション・カスタム指標の登録
- キーイベント(コンバージョン)の設定
- 対象イベントにキーイベントのマークを付与
- コンバージョン値の設定(該当する場合)
- データフィルタの設定
- 内部トラフィックフィルタを「テスト」状態で作成
- (必要があれば)オーディエンスの作成
- (必要があれば)独自チャネルグループの設定
- (必要があれば)BigQueryエクスポートの設定
- データ保持期間の設定
- Googleシグナルの有効化設定
- レポーティングID(デバイスベース/観測/ブレンド)の選択
- アトリビューション設定
- アトリビューションモデル(データドリブンまたはラストクリック)の選択
- ルックバックウィンドウの設定
- 実装テスト・修正
- GTMプレビューモードでのイベント発火確認
- GA4 DebugViewでのイベント・パラメータ確認
- リアルタイムレポートでのデータ着信確認
- ブラウザの開発者ツール → Network →
collect?v=2リクエストのペイロード確認 - SPAの場合は全遷移パターンでのpage_view発火の網羅的テスト
- データフィルタの有効化
- テスト状態で問題がないことを確認した上で「有効」に切り替え
いつでも設定できる
- Google広告との連携設定
- Search Consoleとの連携設定
- ユーザとアクセス権限の付与
設定内容の確認ツール
GA4の設定内容を一覧で確認するには**Google Analytics Admin API(v1)**を使用する。Google Apps ScriptからAdmin APIを呼び出しGoogleスプレッドシートに出力する方法が導入コストが低く実用的である。主な取得可能リソースは以下の通り。
| リソース | 取得内容 |
|---|---|
| properties | プロパティの基本設定(名称、タイムゾーン、通貨、業種など) |
| dataStreams | データストリームの一覧と設定(測定ID、拡張計測機能の状態など) |
| conversionEvents | キーイベント(コンバージョン)の一覧 |
| customDimensions | カスタムディメンションの一覧(名称、スコープ、パラメータ名) |
| customMetrics | カスタム指標の一覧 |
| dataRetentionSettings | データ保持期間の設定 |
| googleAdsLinks | Google広告との連携設定 |
| audiences | オーディエンスの一覧と条件定義 |
| channelGroups | チャネルグループの設定 |